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白人奴隷主によって強制的にキリスト教に改宗させられた黒人奴隷は、日曜礼拝に連れて行かれそこで聖書に書かれていることを学びます。集団生活のルールとして奴隷主の都合のいい形に歪められた内容ではありましたが、奴隷たちはそこで歌われた賛美歌を耳にします。アフリカから連れてこられた第一世代の人たちは英語で書かれた文字も読めませんから、教会で毎週耳にする賛美歌を口ずさむことから聖書の言葉に触れていきました。白人の牧師が語る言葉よりも、奴隷たちには賛美歌のほうがストレートに魂に伝わりました。

メロディのついた聖書の言葉は、奴隷たちの口から口へと伝わりました。それはルールの回覧ではなく、聖書の御言葉そのものの伝道でした。やがて彼らはその御言葉の数々を信じ、心の拠り所としていきます。特に「出エジプト記」に出てくるモーゼによって囚われた民が救われる箇所は、彼らの心をとらえ繰り返し繰り返し歌われました。しかし表向きには彼らは白人奴隷主にむけては従順にルールを学んでいるようにしか見せませんでした。

奴隷たちの反乱を抑制するため、白人奴隷主たちは黒人奴隷の集会を禁じていました。しかし独自の信仰観を持った奴隷たちは白人の目を盗み、皆が寝静まった深夜遅くに白人たちの家から遠く離れた森の奥などに集まり、自分たちだけの礼拝の時を持つようになりました。彼らが集まった場所は「Hush Harbor」と呼ばれる祈りの場所でした。一日の過酷な労働を終えた奴隷たちはそこでおのおのが神に祈り、歌い、踊り、人間としての真の自由を神に求めました。心から自分たちを解放してくれる救世主の到来を信じ、アフリカ人として継承してきた文化や伝統のスタイルで長い時間をかけて新しい賛美歌を作り出していったのです。これが黒人霊歌(Spirituals)です。

Hush Harborでの集会は危険極まりないもので、もし白人に見つかってしまったら過酷な罰を受けるであろうものでした。しかしその緊張感が逆に黒人霊歌の歌詞や音楽性の独特の深みを与えたのだと思います。隠れた教会による隠れた礼拝で、彼らは耐え難いほどの日常の緊張からの解放を求め、イエス・キリストによる解放の実現を歌いました。教えられた形式上の解釈ではなく、彼らの魂が心から求めたものが歌になった、まさにスピリチュアルズというべき心のサウンドの誕生でした。

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こんにちは。Everlasting Joy、S.M.S Gospel Choir代表のBee芦原です。このブログではゴスペルの歴史や聖書のことなどを僕の知識と参考文献からの引用から、わかりやすく解説できたらと思っています。専門家ではないので自己解釈で誤った記述もあると思います。お気づきの方はご指摘いただければ幸いです。

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